深部310km地点

変に明るく、変に暗い

26. 現在地不定条約

現在地が分からない。私は一体どこにいる?どこへ向かっている?何も分からない。ただ光に照らされた方へ歩いてみたかと思えば、照らされた光によってできた影に逃げるように駆け込む。これを延々と繰り返す。完全に光に支配されている。偶発的な出来事と、その時の私の気分で行動が左右される。滅茶苦茶だ。私は何がしたいんだ。ただ流されるだけの人生は楽しいか?それすらも分からない。全てを破壊したくなる衝動が分からなくもない状況になってきた。不健康だそんなの。心の不健康さを発散したく戦争映画を見る。知らずのうちに戦車に轢かれ、泥と見分けが付かなくなった死体が映る。軍服を着た泥人形。それもほぼ液体の。今の私だ。と直感した。悲しくも。外見だけを取り繕い、中身はドロドロ。運命に踏まれ、身動きがとれない。一度眠りに付けば変わるかな。いや、そんな事したら二度と起きないだろう。眠りというものは強靭だ。生にとっても死にとっても必要不可欠で、 自然に引き寄せられるのだ。何が強いってその引力に尽きる。こんな事を書いている私は、よっぽと人生に失望しているのだろうと思いきや、全くの正常。確かに少しは疲れているだろうが、それなりに正常。言い切れはしないけど。なぜなら今までの異常が長く続きすぎて正常に成り代わってしまった可能性も考えられるから。大丈夫!なんとかなるよ!と無責任な励ましが時速40kmくらいのスピードで脳内を駆け巡る。絶妙に遅くて絶妙に聞き取れてしまう。喧しい。さっさと加速して遠くへ行ってほしい。ああ、早く納得したい。納得し、諦観し、地に足を着けて生き直したいのだ。自己否定を繰り返し、いつまでもふわふわ遊んでいるように見えてぐるぐる悩み続ける人生。これもまた良い。こんな生き方があっても良いだろう。この二者が常に対立する。困ったものだ。早いところ和解し条約でも締結してくれはしないか。情勢が不安定なんだこちとら。頼んだぞ私の友人達よ。