深部310km地点

変に明るく、変に暗い

19.腐敗ガス中毒

社会の例に倣い職探しをしていた。流れに身を任せすぎた結果そうなってしまった。しまった。私は将来的には仕事に就いて安定した収入を得たいが、職探しにおける私にとっての適正時期が世間とズレていると常々感じていた。何においても、適正時期でないとやる意味が無い。不適正時期の私のやる気は0だからだ。何をしても身にならない。時間の無駄だ。例え今取り組んだ方が後々楽だとあらゆる方向から勧告されたとしても。全てはタイミング。故にタイミングを間違えないように秒単位で人生を眺める。電線に乗り、対象が見えなくならないように前後に伝いながら。電線に止まる小鳥にうっかり食われないようにしながら。己と世間との適正時期の一致度と人生の難易度は負の相関にある。そんなものは知らない。邪魔だ。見て見ぬふりをする。見て見ぬふりをすると決まって嘲笑される。気付いていない。自ら落ちぶれに行っている。と。私は波に呑まれ自分が死んだ事にも気付かずに生体を嘲笑う水死体と関わりたくないのだが。ただ、私にも彼ら水死体に憧れる要素はある。存在意義がはっきりしていそうな点だ。居場所がある。群れをなし、巨大な水死体となれる。体積で見れば到底勝てない。私はその巨大な水死体の一部となりたい。そして、内側から破壊の限りを尽くしたい。めちゃくちゃにしてやる。それにはまず水死体にならないといけないのだ。腐敗ガスは私の体内を侵す。半年くらいならいけるかも。反吐が出る。やっぱり無理だ。計画はやめだ。計画を立てるとそれに抗うように行動する性質。我ながら面白い。かと言って絶対に達成されてはならない計画を立てるとそれに向かって努力する。面白い。我が計画は達成されずして初めて計画"だった"と分かる。非表示の計画。私が私としていられるようにするための。有言不実行。不言実行。私の座右の銘だ。これは信用されない。他人に信用されない限り、私であることの証明となる。